
【トライオートETF】TQQQの上場廃止(繰上償還)リスクについて検証
こんにちは、辺野もへじです。
最近は絶好調のTQQQですが、調子が良いからこそ、上場廃止のリスクが頭をよぎりませんか?
今回は上場廃止のリスクについて、海外の記事を中心に調べました。
その結果、TQQQの上場廃止は過度に恐れる必要はないという結論に至りました。
本記事では調査結果をご報告いたします。
TQQQとは
TQQQの正式名称は『ProShares UltraPro QQQ』です。
投資会社『ProFunds Group』のグループ会社である『ProShares』が提供するETFになります。
TQQQはNASDAQ100(QQQ)の3倍(トリプル)の値動きをするレバレッジETFです。
QQQが10%上昇すれば、TQQQは30%上昇
QQQが10%下落すれば、TQQQは30%下落

プロの投資家向けの商品ではありますが、値動きが激しい分、リピート系の自動売買との相性が良いです。
トライオートを始めとした自動売買は上下の値動きの総推移を利益に変えます。
つまり上下に良く動き、その幅も大きければ大きいほど利益が大きくなります。
その点、3倍の値動きをするTQQQは自動売買にうってつけのETFと言えるでしょう。
上場廃止(繰上償還)とは
ETF(Exchange Traded Fund)は上場投資信託と訳される通り、投資信託の一種です。そのため運営に必要な投資家の資金が集まらなければ、続けることができません。
継続できなくなったETFは米国証券取引委員会(SEC)のルールに基づいて上場廃止の手続きが進められます。
実際に約2,400あるETFのうち、2020年には275のETFが上場廃止になっております。
その中にはTQQQを発行している『ProShares』のETFも含まれております。

上場廃止の手順(the balance参照)
①ETF上場廃止の公示
ETF発行会社は上場廃止を決定した場合、米国証券取引委員会(SEC)に目論見書の補足を提出。
そして上場廃止の30~60日前にプレスリリースで投資家に通知します。
通知の中には上場廃止日までに売却しなかった場合の対応等も記載されております。
②ETF上場廃止および清算
ETF発行会社は上場廃止後すぐにETFを清算します。
まだETFを保有している投資家に対しては事前通知に基づいた対応がなされます。
ETF保有者の対応
上場廃止決定後、早急に売却することがサイトでは推奨されています。
ただし1か月の猶予があるので、一刻を争うレベルではありません。
株の上場廃止は0円になってしまいますが、ETFは異なります。
例えばNASDAQと連動しているETFの場合は、あくまでも最後までNASDAQと連動します。
そのため1か月の間でNASDAQが上昇すれば、ETFの価格も上昇することになります。
上記は実際に2020年10月に廃止されたETFのチャートです。
0円にはなっておらず、最後まで基となる指数に連動しております。
上場廃止(繰上償還)4つの要因
実際にTQQQが上場廃止するリスクはどれくらいあるのでしょうか?
日本語の記事ではあまり知りたい内容が見つけられませんでしたので、海外の記事を読み漁りました。
【ETF.com】というサイトの『Managing & Avoiding ETF Closures(ETF閉鎖の管理と回避)』という記事を中心に抜粋します。※一部意訳を含みます。
ETF上場廃止要因①:ETFの運用資産(AUM)
数億ドルにも及ぶような運用資産(Assets Under Management)が高いETFは、収益性が高すぎて上場廃止できません。
記事では目安として、AUMが5,000万ドルを超えるETFは上場廃止リスクがかなり低いと述べています。
ただしあくまでも目安であり、AUMだけで上場廃止リスクを見極めようとすると、大半のETFがリスク有となってしまうと補足されております。
TQQQのAUMは124億ドルなので、AUMだけの観点からすると、安心できるようです。
TQQQのAUMランキングは約2,400あるETFのうち、104位と上位におります。
ETF上場廃止要因②:ETF発行会社の規模
①以上に重要なのが、ETF発行会社の規模であると言われています。
これまで上場廃止となったETFのほとんどの要因が、ETF発行会社がETF事業から撤退したことが要因であると記事では書かれております。
つまりETF発行会社が大きければ大きいほど、突然ETFが上場廃止になるリスクが少ないと考えられます。
【ETF発行会社:運用資産ランク(約170社)】
【ETF発行会社:収益ランク(約170社)】
TQQQの発行会社である『ProShares』は約170社のETF発行会社のうち、
運用資産ランクで10位
収益ランクで6位
ランキングを見てわかる通り、『ProShares』は上位に位置する大きな会社です。
ETF関連記事でETF発行会社TOP10に毎回入っております。
ETF上場廃止要因③:セグメント内のETFのランク
同様の商品を扱うETFが多い場合、その中でAUMランクが低いETFは廃止される可能性が高くなります。
これはETF発行者が競争力のないETFを戦略的に廃止するということです。
逆に言うと、唯一性があり、ある程度人気があるETFは廃止されづらいということになります。
【NASDAQ100連動型ETF】
【NASDAQ100 3倍レバレッジ型ETF】
NASDAQ100連動型のETFが8つある一方で、3倍レバレッジ型はTQQQのみです。
TQQQはNASDAQ100という人気のカテゴリーでありながら、3倍レバレッジという唯一性があると言えるでしょう。
ETF上場廃止要因④:ETFの取引量
別のサイト【the balance】の記事『What Happens When an ETF Closes Its Doors?』では、活発に取引されているETFは上場廃止しづらいと述べられております。
平均取引量が少なくとも1,000万ドルあるETFを選ぶべきだと書かれています。
上の表はETFの平均取引量TOP100ランキングの抜粋です。
※3か月の1日平均
TQQQは9位であり、1日平均取引量3,750万口×110ドル/口(4/17現在)
=41億ドルを誇ります。
追記:SQQQ(ProShares UltraPro Short QQQ)
『ProShares』のETFとしてSQQQというものがあります。
これはTQQQの真逆。NASDAQ100の3倍インバース型ETFです。
インバース型とは基となる指数とは逆に動くETFのことです。
QQQが10%上昇→SQQQは30%下落
QQQが10%下落→SQQQは30%上昇
投資家の間でインバース型はリスクヘッジで使用されることが多いと言われています。
上の④の1日平均取引量の表を見ていただくと、名だたるETFを抑えて、なんとこのSQQQが1位におります。

リスクヘッジの観点から大変人気であることがうかがえます。
インバース型は暴落相場で活躍する性質があるので、今後コロナショックやリーマンショックのようなショック相場が来ても、大活躍する目算が高いです。
そして上述した2020年に『ProShares』が廃止したETF一覧を改めて見てみます。

見ていただいてわかる通り、ロング(買い)とショート(売り)のETFはセットで廃止になることが多いです。
これらのことから、リスクヘッジ一番人気のSQQQと対になっているTQQQは暴落相場においてもそう簡単に上場廃止になるものではないと、個人的には考えております。
上場廃止(繰上償還)の総括
今回参考にした記事では最後にこう書かれています。
Ultimately, don’t let media headlines about ETF closures invoke fear, because first and foremost, ETF investors usually don’t stand to lose when an ETF closes. Secondly, funds at risk of closure are largely easy to identify, which is to say that it should be easy for you to avoid the high-risk funds—after all, there’s almost always a larger and more viable ETF offering similar exposure.
ETF.com
要約すると、
ETFの上場廃止について過度に恐れる必要はありません。そもそもETFの上場廃止は通常投資家を損させるものではありません。そしてリスクのあるETFは簡単に見分け、回避することが可能です。
今回はETFの上場廃止要因と合わせて、TQQQの立ち位置について調べました。
①運用資産(AUM)
→TQQQは124億ドルで104位(2,400中)
②ETF発行会社の規模
→ProSharesは運用資産ランク10位、収益ランク6位(170社中)
③セグメント内のETFランク
→TQQQはNASDAQ100の3倍レバレッジというセグメントでは唯一の存在
④ETFの取引量
→TQQQの平均取引量は41億ドル 全ETFで9位
以上のことから、TQQQの上場廃止についてはそこまで過度に恐れる必要はないと考えます。
とは言え、あくまで私個人が調べた上での所感ですので、投資は自己責任でお願いいたします。
いかがだったでしょうか?
皆様の参考になれば嬉しいです。
それではまた。
当ページに掲載している情報については、その正確性・安全性等を保証するものではなく、あくまでも参考情報の提供のみを目的としており、特定の投資商品の購入・売却を勧誘するものではなく、また取引の安全性を保証するものではありません。
投資・売買に関する最終決定はご自身で判断いただきますようお願いいたします。