
【小説の書き方】キャラクター作りで過去が大事な3つの理由
こんにちは、辺野もへじです。
小説家を目指す同志の皆さん、執筆は進んでおりますでしょうか?
皆さんの中には、書いている小説のキャラがいまいち魅力的に描写できないという方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方に魅力的なキャラクターを作るための考え方をご紹介いたします。
合う/合わないはあるかとは思いますが、いち意見として参考にしていただければと思います。
この記事はこんな方におすすめです。
- キャラクターが浅い気がする
- キャラクター同士の会話が進まない(しんどい)
- キャラクターに物語を進める推進力がない
キャラクター作りにおいて、過去が大事な理由は3つあります。
①キャラクターの言動・性格・思想の裏付けになる
→キャラクターに深みが生まれる
②キャラクターの行動指針・判断基準になる
→キャラクターが動き始める
③結末に納得感が生まれる
→『why done it?』のミステリ要素を加えられる
ひとつずつ解説いたします。
キャラクターの言動・性格・思想の裏付けになる
小説に限らず、漫画やアニメ、ドラマには多種多様なキャラクターがいます。
それぞれのキャラクターが様々な特徴を持っております。
冷静、活発、温厚、短気、ツンデレ、臆病、ミステリアス等々
しかし、これらの属性をただキャラクターに組み込むだけでは深みは生まれません。
そのキャラクターがその性格である『必然性』がないからです。
読者には取ってつけたような印象を与えてしまうことでしょう。
〇〇という唯一無二の人物ではなく、『冷静キャラ』、『ツンデレキャラ』といったパターンの一種として捉えられてしまい、「浅い」と思われてしまう可能性が高いです。
ではどうすれば深みのあるキャラクターを作ることができるのか?
→キャラクター設定の『必然性』を意識することです。
その『必然性』を生み出してくれるのが、『過去』です。
面倒見が良いキャラクターはなぜ面倒見がよいのか?
→幼い頃に母親を亡くし、弟や妹の世話を母親代わりにしているから。
温厚なキャラクターはなぜ温厚な性格なのか?
→昔は短気だったが、自分の短気が起こした事件がきっかけで大切な人を傷つけてしまった。そのことを深く反省し、自分を戒めているから。

このように過去の延長線上の性格でもよいですし、ある出来事をきっかけに性格や考え方が変わったでも良いです。
絶対に避けた方が良いことは、理由もなしにキャラクターの言動が変わることです。
現実の人間は日によって気分が変わります。やけに晴れやかな気分だったり、やけにイライラしたりするでしょう。
しかし、小説のキャラクターでそれをやってしまうと「ブレ」とみなされてしまいます。
キャラクターの変化には必ず理由が必要です。
物静かな人がやたら話す→何か誤魔化そうとしている。
といったように『必然性』を意識すると、話づくりのネタにもなり、キャラクターに深みが生まれることでしょう。
『必然性』を生み出す根源となるのが、『過去』なのです。
キャラクターの行動指針・判断基準になる
過去をきちんと設定し、物語を書き進めると、次第にキャラクターが自ら行動し始めます。
俗にいう『キャラが動く』という現象です。
この現象がなぜ起きるか?
それは書き手である私たちの脳内で、ある種のディープラーニングが行われているからだと考えます。

まず初期設定でキャラクターの生い立ちや性格を考えます。そして物語を書き進めていくと、キャラクターに何度も判断をさせることになります。
- いきなり殴られたら、怒るのか?泣くのか?笑うのか?
- 料理下手なヒロインから手作り料理を差し出されたら、美味しいと嘘を吐くのか、不味いと素直に言うのか、それとも口にしないのか?

こうした判断を繰り返すことで、キャラクターの判断基準や行動指針が次第に明確になり、確立していきます。
すると、当初予定していたストーリーの中で
「あれ?このキャラ、ここでこの判断はしないよな」
「こういう行動をした方がこのキャラらしい」
と書き手側で違和感を覚えます。
この違和感こそ、『キャラが動く』という現象の正体です。
判断の積み重なりがキャラクターの人物像をより明確化し、やがてキャラクターが自律的に判断・行動し始めるのです。
この現象が起これば、キャラクターに深みが生まれている証左でしょう。
あとは書き手がストーリーとキャラクターの間を上手く取り持ちながら、物語の完結へ向けて書き進めていくのみです。
すべての判断基準の土台となるのが、キャラクターの生い立ち、つまりは『過去』なのです。
過去自体が大きな謎・どんでん返しに使える
これまで挙げた2つのポイントはどちらかというと『過去』を起点とした積み上げ式でした。
3つめのポイントは『結末』から『過去』を考える逆算式です。
例えばミステリで意外な犯人を設定していたとしましょう。
その際に、意外性だけを重視して、その犯人の過去をおざなりにしてはいけません。
「犯人は生まれながらの快楽殺人鬼だったのです!」
そんな安易な理由をつけた瞬間、読者は「は?」となり、冷めてしまいます。
ここでも犯人が事件を起こす『必然性』が必要になります。
犯人が事件を起こす理由となった『過去』の出来事。
その『過去』の出来事をしっかりと考えないと、『必然性』は生まれてきません。
過去が出来上がったら、物語の途中の描写もその過去によって形成された人物らしい言動や判断をする必要があります。

その結果、読者が記憶を遡った時に
「あ、だからあの時、あんな言動をしたのか」
と納得感が生まれます。
そしてその過去や理由が意外なものであるほど、
「why done it?(なぜやったのか?)」
で読者を驚かせることができます。
読者に結末の納得感を与え、驚きをもたらせるのが「過去」なのです。
まとめ
①キャラクターの変動・性格・思想の裏付けになる
→キャラクターに深みが生まれる
②キャラクターの行動指針・判断基準になる
→キャラクターが動き始める
③結末に納得感が生まれる
→『why done it?』のミステリ要素を加えられる
いかがだったでしょうか?
あくまで私個人の意見ではありますが、皆さんの執筆活動の参考になれば幸いです。